外資系企業では、日系企業と比較して出世・昇進することが難しいと聞いたことはありませんか?
実は、日系企業と外資系企業の出世・昇進事情はまったく異なります。
日系企業とは異なるポイント・人材の特徴が評価されるからです。
しかしながら、外資系企業で評価されるポイントを整理、実践して入社して3度目の年俸改定時に昇進することができました。
そこで、この記事では、外資系企業4社に在籍した筆者が、外資系企業の出世・昇進事情やアップ・オア・アウトについて解説します。
記事を読み終えると、外資系企業で出世・承認するためのコツが理解できる様になります。
UP or OUT (アップ・オア・アウト)とは?
- アップ・オア・アウトの意味
- アップ・オア・アウトのメリット・デメリット
- 望まないアウトの状況になったらどうする?
UP or OUT (アップ・オア・アウト)の意味
アップは、「出世・昇進」を意味し、アウトは、「クビ・退職・キャリアアップの見込みがないこと」を意味します。
つまり、「出世・昇進」するか「クビ・退職」になるかということです。
アップ・オア・アウトは、ネガティブに使われることもあればポジティブに使われることもあります。
- ネガティブ:会社側から、「この会社に居続けても、この先のキャリアは望めないから辞めてください」と判断される。
- ポジティブ:自分から、「この会社に居続けても、この先のキャリアは望めないから次の機会を探す」と判断する。
また、アップ・オア・アウトの文化がすべての外資系企業・業界・職種に当てはまるわけではありません。
成果と報酬の相関性が高い人材(金融、コンサル、セールス、上級管理職等)には当てはまる傾向が強いです。
わたしは、外資系企業4社に在籍しましたが、そのうち3社では管理部門で勤務していました。
これらの会社では、UP or STAY(アップ・オア・ステイ)という文化で、昇進はないものの、クビにもならない落ち着いた勤務環境でした。
UP or OUT (アップ・オア・アウト)のメリットとデメリット
アップ・オア・アウトのメリット
【会社側のメリット】
成果を出さない、会社のカルチャーに合わない人材を排除できる。
会社側のメリットとしては、期待していたパフォーマンスを発揮してくれない人材を退職させて、よりポテンシャルが高い人材を社外から獲得することです。
外資系企業では、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)や各年度のOKR(目標設定と結果)で自分の成果が明確に問われます。
また、その成果が次年度の年俸や昇進にダイレクトに影響します。
目標を達成していない、ということは会社がオファーする待遇に見合っていないと判断し、改善か退職を要求することになります。
【従業員側のメリット】
成果の出せない、自分が合わない会社に見切りをつけ、他の機会を探すきっかけ・動機になる。
外資系企業では、自分の上司が退職した場合、日系企業と比較して内部昇格させるケースは少ないです。
退職者の補充は外部採用でまかなうことが多く、昇進する機会があまりありません。
従業員側のメリットとしては、いつまでもキャリアアップの望めない環境で仕事を続けるよりも、より自分のスキル・経験が活かせる環境へ移るきっかけにすることができることです。
また、外資系企業ではジョブ型採用が一般的なので、基本的に異動という概念がありません。
従って、環境を変えるとなると、転職という手段を取ることが一般的です。
アップ・オア・アウトのデメリット
【会社側のデメリット】
アウトになった人材を補充しなければならない(必ずしも補充した人材がより優秀とは限らない)。
従業員を退職させた場合、退職人材を補充しなければなりません。
補充する場合、採用コストもかかりますし、退職した人材よりも優秀な人材を獲得できる保証もありません。
また、退職した人材によっては、組織にインパクトを与えることもあり得ます。
退職した人材の部下も連鎖的に退職することもあり得ます。
【従業員側のデメリット】
離職期間が長期になった場合、経済的な不安が大きくなる。
自分が望まない退職だった場合、次の勤務先への転職がスムーズにいかないこともあります。
転職活動を開始したものの、希望する求人案件になかなか出会えなかったり、応募しても内定までたどりつけないこともあります。
退職勧奨による退職の場合は、パッケージ(特別退職金)をもらっているケースが多いですが、3か月から6か月程度が一般的です。
転職活動が長期化すると経済的な不安と向き合うことになります。
望まないアウトの状況になったらどうする?
アップ・オア・アウトの勤務先からパフォーマンスが低いことを指摘され、アウト(退職勧奨)を受けたらどうすれば良いでしょうか?
- 可能であれば退職勧奨のミーティングを延期する
- 退職勧奨を受けたときの記録を取る
- その場では回答しない
- パッケージの相場を知る
- 弁護士に相談する
- 転職活動を開始する
外資系企業の解雇(クビ)事情については、こちらの記事(外資系企業は突然解雇(クビ)になる? 外資系法務担当者がその背景と対処法を解説)で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
外資系企業で出世・昇進できない人の特徴5つ
外資系企業のアップ・オア・アウトについて解説したところで、出世・昇進できない人の特徴5つについて説明します。
- チームワークを重んじ過ぎる人
- 細部にこだわる人
- 押しの弱い人
- 上司が苦手な人
- 英語の苦手な人
①チームワークを重んじ過ぎる人
日系企業から外資系企業に転職した人は、外資系企業の個人プレーの文化に驚かれるかと思います。
外資系企業では、個人のパフォーマンスが明確に精査・評価されます。
従って、社員は自分の居場所と雇用を維持するために、何よりも自分の成果を優先します。
出世・昇進という観点では自分の成果を出すためには、ある程度利己的にならなければならない場合もあります。
そこにストレスを感じて行動できない人には出世・昇進のチャンスは巡ってこないかもしれません。
②細部にこだわる人
外資系企業では求められた期日までに成果を出すことが何よりも優先されます。
場合によっては、成果を出すためにある程度のリスクやデメリットを抱えることもあり得ます。
その様なリスクやデメリットを解消しないと物事を進められない傾向の人は評価が低くなる傾向になります。
③押しの弱い人
外資系企業では、各従業員は職種・ポジションによって個別の成果を求められています。
ときには他の社員・部門と利害が一致せず、あつれきが生じる場合もあります。
自分の目標の達成のためには相手に妥協や協力をお願いするケースもあります。
従って、グループの和を重んじて、自分の成果を出すための行動が取れない人は昇進という観点からは厳しいかもしれません。
④上司が苦手な人
外資系企業で、「誰のために仕事をしているか?」と問われたら、「上司のため」と言われることもあります。
そのくらい上司の存在感は強いです。日系企業とは比較になりません。
日系企業では、人事部門と上司が社員のキャリアを把握・管理し、所属部門と相談して必要に応じて配属・昇進を検討します。
外資系企業では、自分がその会社に在籍し続ける、昇進できるのかは、すべて上司の評価によります。
もしいまの上司が苦手で自分のパフォーマンスやスキルを正しく伝えられていないと感じる場合は非常に危険です。
そういった上司の下で出世・昇進できる可能性はまずありません。
⑤英語の苦手な人
外資系企業であっても、すべての企業・職種で英語力が求められるわけではありません。
まったく英語を使用しないポジションも実際にあります。
ただし、出世・昇進になると話は違います。
外資系企業での昇進は海外本社との連携や重要なプロジェクト・会議への参加がカギとなります。
英語力がないとこれらの機会を得ることができません。
少なくとも入社してからビジネスレベルの英語力まで向上させる意識がないと厳しいでしょう。
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忙しいビジネスパーソンでもスキマ時間で自分に合ったペースでレッスンを受けることができます。
ELSA Speakについては、こちらの記事で詳しく説明していますのでぜひご覧ください。
外資系企業で出世・昇進するためのスキル5つ
外資系企業で出世・昇進できない人の特徴が理解できたら、出世・昇進に必要なスキルもおのずと明確になります。
- プレゼンテーション力
- 交渉力
- 人間関係構築力
- 鈍感力
- 英語(語学)力
5つのスキルを順番に説明していきます。
①プレゼンテーション力
外資系企業では上司に対するプレゼン力と社内・社外に対するプレゼン力が必要になります。
上司に対するプレゼン力は、自分の成果が適正に評価に反映される様に合理的に説明する必要があります。
また、社内・社外に対するプレゼン力は、自分の存在価値を認めてもらうために必要となります。
社内でのプロジェクトが完了したときや取引先との案件が成約したときに、自分の功績を周囲に認識してもらうことが重要です。
②交渉力
外資系企業における生存・昇進戦力においては、上司の評価が非常に重要です。
従って、評価面談の際に、自己評価と上司の評価との間にギャップがある場合、自分の成果を合理的に説明しなければなりません。
わたしは初めて外資系企業に転職した際、昇進できるまでに3年(3度目の評価面談まで)かかりました。
1年目の失敗:自分からアピールしなくても、上司は自分の仕事ぶりを認めてくれると思っていた。
2年目の失敗:上司・会社の事情を把握せず、自分のアピールに固執した。
3年目はこれらの失敗を活かして、自分の成果を組織への貢献度の観点から適切にアピールし(=上司に会社を説得させるための材料を与えた)、合理的な待遇を求めました。
③人間関係構築力
自分の成果を出すために周囲を巻き込むことが必要になります。
外資系企業は個人プレーヤーの集合体の様な組織であることが多いです。
個人が自分の成果を出すことを目的にしているので、同僚が自分の思うように行動してくれないと感じることも多々あります。
その様な環境では、自分が必要なときに協力してもらえる様な人間関係を構築していることが重要になります。
④鈍感力
外資系企業で出世・昇進している人は周りのことを気にしないタイプの人が非常に多いです。
外資系企業では、成果の達成が重視されます。
周りのことを気にし過ぎていては、成果を達成することはできません。
特に役職が上になるほど日々多くの小さな問題から大きな問題に向き合うことになります。
⑤英語(語学)力
すべての職種で英語力を求められないことは前述のとおりです。
しかしながら、外資系企業で出世・昇進を狙う場合、英語力の問題はどこかで向き合うことになります。
外資系企業で成功するには、海外本社との関係構築や重要な情報にタイムリーにアクセスすることが重要です。
まとめ
以上、今回の記事では外資系企業の出世・昇進事情について解説しました。
- チームワークを重んじ過ぎる人
- 細部にこだわる人
- 押しの弱い人
- 上司が苦手な人
- 英語の苦手な人
- プレゼンテーション力
- 交渉力
- 人間関係構築力
- 鈍感力
- 英語(語学)力
現実的な問題として、外資系企業で出世・昇進することのハードルは高いです。
自分のスキル・実績などに加えて、勤務先や上司との相性やタイミングといった要素によって左右されることもあります。
なので、外資系企業に勤務するビジネスパーソンは常に転職市場の情報を入手して、より良い機会を得るための努力を惜しみません。
外資系企業では人材の流動性が高いので、明日にでも自分に合った求人案件が出る可能性があります。
現職での実績を積み上げることと同時に転職市場の情報収集も継続されることをおススメします!
最後まで読んで下さりありがとうございました!