転職エージェントから外資系の中小企業の案件を紹介されたり、転職サイトで募集案件をみたことはありませんか?
実は、外資系企業を狙って転職活動をしていると、従業員数が20名程度から200人程度の中小企業の求人案件は結構あります。
実際、私はこれまで4社の外資系企業に勤務しましたが(プロフィール詳細)、すべて従業員が300人以下の企業でした。
なかでも、前職の企業は従業員数が20名の外資系企業でした。
企業の規模・認知度イコール自分の待遇ではありません。
転職の目的によっては、外資系中小企業はメリット盛沢山の魅力的な転職先となり得ます。
そこでこの記事では、求職者の立場から外資系中小企業に転職するメリットとデメリットについて解説します。
記事を読み終えると、外資系中小企業への転職を考えるメリットを整理でき、転職活動の選択肢に入れることが可能になります。
外資系企業3つのタイプ
当ブログでは外資系企業を以下の3つのタイプに分類しています。
- 海外企業が100%出資して日本法人を設立したタイプ
- 海外企業が日系企業と共同出資して日本法人を設立したタイプ
- 海外企業が日系企業(またはその部門)を買収したタイプ
それぞれの特徴の詳細はこちらの記事(英語は本当に必要? 外資系企業の特徴と選択肢に入れるべき5つの理由をわかりやすく解説!)にて解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
本記事のテーマは外資系の中小企業です。この3つのタイプの中では:
- 海外企業が100%出資して日本法人を設立したタイプ
- 海外企業が日系企業と共同出資して日本法人を設立したタイプ
の2つのタイプまたは設立からまだ時間が経っていない企業が中小企業の場合であることが多いです。
外資系中小企業へ転職するメリット7つ
わたしが実際に外資系中小企業4社に勤務して実感したメリット7つを説明します。
外資系中小企業へ転職するメリット7つ
- 役割・裁量が大きい
- 制度設計に関わることができる
- 成長機会が多い
- 海外本社との関係を構築しやすい
- 自由な働き方を実現しやすい
- 報酬の設定が柔軟
- 転職回数・年齢に寛容
それでは7つのメリットを順番に説明します。
メリット① 役割・裁量が大きい
外資系中小企業では、かなり従業員の数を絞っています。
さらに「人材を育てる」という概念・余裕はありませんので、組織がフラットで全員が即戦力プレーヤーであることが一般的です。
従って、海外本社からはミッションを与えられますが、それを達成するための裁量はある程度各自に与えられています。
大企業の様に、組織上に何階層ものレイヤーがないことから、個人の責任も裁量も大きくなります。
また、企業の成長度合いによっては、マネジメント階層のポジションがまだ空いていたり、新設されることもあります。
その様な段階の企業では、社内で実績を積み上げて入社時よりも上の役職を狙うことが可能です。
メリット② 制度設計に関わることができる
外資系中小企業では、まだ業務上のプロセスや制度が固まっていないことも多々あります。
その様な企業では、制度設計に関わって、自分にとってより合理的な(都合の良い)制度を提案・改善することも可能です。
海外本社の方針はありますが、企業によっては海外子会社でローカルルールを設定することを容認してくれるところもあります。
成熟した企業にはないメリットと言えるでしょう。
メリット③ 成長機会が多い
良くも悪くも大手よりもカオスな状態なので、外資系中小企業では手つかずのタスクが山積みになっています。
また、リソースが潤沢ではないので、専門外の業務を行わなければならないケースもあります。
業務は大変になりますが、その分成長機会が得られやすく、職務経歴書に書くことができる実績を増やしていくことが可能です。
メリット④ 海外本社との関係を構築しやすい
外資系企業での生存・昇進戦略において、海外本社とのパイプを持つことは非常に重要です。
大企業の場合、日本支社に自分の上司、さらにその上司がいる様な状況ですと、海外本社と直接パイプを持つことは難しくなります。
外資系中小企業はフラットな組織が多いので、上司が海外本社にいたり、他の部門への問い合わせも海外本社に直接おこなうことが多い傾向にあります。
その様な組織で海外本社における自分の存在が認知されていると、海外本社に対して自分の成果を直接アピールしやすくなります。
メリット⑤ 自由な働き方を実現しやすい
外資系大企業では既に日系企業並みの就業規則が運用されていることが多いです。
いっぽう、外資系中小企業では、まだまだ自由な働き方が許されているところも多いのが実態です。
従業員数が多くないため、個人のパフォーマンスが管理しやすいからです。
また、社風として成果さえ出していれば、働き方は従業員の裁量に委ねるというところが多いという理由もあります。
私は前職は20名の中小企業でしたが、業務のアウトプットさえしていれば仕事をする時間や場所の縛りはほとんどありませんでした。
もちろん、業務後の飲み会への参加やお付き合い残業などもありませんでした。
メリット⑥ 報酬の設定が柔軟
大企業では採用される人材の役職・職務内容によって待遇のレンジが決まっています。
外資系中小企業では、採用人材のポテンシャルによって、人事部門ではなく、採用部門が報酬を決定できる裁量をもっているところが多いです。
大企業では人事部門によって他の社員の待遇との比較・バランスというバイアスがかかってしまいますが、中小企業はそのあたりが柔軟で交渉の余地が大きいこともあります。
従って採用企業側のニーズと合致した場合、市場価格以上のオファーをもらうことも可能です。
メリット⑦ 転職回数・年齢に寛容
外資系企業は転職回数に寛容な傾向がありますが、中小企業はその傾向がより強くなります。
わたしがこれまで10回転職できたのは、この様に転職回数に寛容な企業があるからです。
スキルと実績、カルチャーフィット、待遇のレンジさえ合えば、採用されます。
日系企業への応募では転職回数と年齢で書類選考を通過するのも難しいのが実情ですが、外資系中小企業では少なくとも面接まで進むことが可能です。
外資系中小企業へ転職するデメリット5つ
外資系中小企業へ転職する様々なメリットがあることがわかりました。
次に、外資系中小企業に転職するデメリットについて説明します。
私は大手企業にも在籍経験がありますが、両者を比較して感じたデメリットは以下の5つです。
外資系中小企業へ転職するデメリット5つ
- 撤退・買収リスク
- 管理部門のサポート不足
- 福利厚生
- 個人プレーが中心
- 外部から優秀な人材が入ってくる
5つのデメリットを順番に説明していきます。
デメリット① 撤退・買収リスク
企業規模にかかわらず、外資系企業のデメリットとして撤退・買収リスクはありますが、特にスタートアップの中小企業の場合は、そのリスクが高くなります。
日本支社を設立して商品・サービスを投入したものの、数年で撤退ということは現実としてあります。
最近では、デリバリーフード業界の「フードパンダ」や「DiDi Food」が日本上陸から数年で撤退しています。
また、外資系企業では、企業間の買収・合併や事業譲渡が日系企業よりも多いのが実態です。
買収・合併・事業譲渡などによって、自分の部署・ポジションがなくなる、という事態もありえます。
その様な事態に至らなくても、経営陣が刷新され、会社のカルチャーが劇的に変わる、という可能性もあります。
デメリット② 管理部門のサポート不足
外資系中小企業では、大企業と比較すると管理部門に割くリソースがありません。
そのため、海外本社の管理部門が日本支社に対して遠隔でサポートしたり、外部の会社に委託するケースが多いです。
従って、日系企業や大手外資系企業の様に、社内の管理部門による手厚いサポートは期待できません。
いくつか例を挙げますと;
- 人事・労務:入社時と退職時の手続き・健康保険・年末調整など
- 経理:経費精算・取引先への送金など
- 法務:ビジネス上の法務チェック・契約書の確認など
- IT:業務で必要なPC・ソフト・携帯電話などの手配
こういった業務も一部自分で調べて行わなければなりません。
これまで大企業でこの様なサポートが当たり前だった人はストレスを感じることがあるかもしれません。
デメリット③ 福利厚生
大手企業では当たり前の様に整備されている福利厚生制度も、外資系中小企業では法的に最低限のものしかないと考えておく方が良いでしょう。
従って、特に日系企業では導入されている各種手当(住宅・家族・食事等)、保養所、資格取得のサポート等はまずありません。
また、教育制度も整備されていないところが多いので、自分の時間・費用を使う必要があります。
デメリット④ 個人プレーが中心
もともと外資系企業は各プレーヤーの集合体という文化ですが、中小企業ではその傾向がより強くなります。
規模が小さいため、個人のパフォーマンスに依存する部分が大きいためです。
また、設立間もない会社の場合は、まだ会社としての文化を醸成している段階のとこもあります。
これまで、チームプレーヤーとして組織に貢献してきた人にとっては、各個人が自分の目標を達成することを優先して動いている状況にストレスを感じるかもしれません。
また、個人に依存する部分が大きいので、その人材が離職したときのインパクトも大きくなるのも特徴のひとつです。
デメリット⑤ 外部から優秀な人材が入ってくる
撤退・買収リスクとは反対に、事業が軌道に乗った場合も実は従業員にリスクがあります。
会社の業績が上向いてくると、さらなる事業の発展のためにより優秀な人材を採用しようとします。
その場合、自分の担当業務が外部から入社してくる人材に狙われたり、目指していた上のポジションが外部の人材に奪われる、といった事があり得ます。
また、幹部クラスの人材が採用されると、その幹部が過去の会社の部下を連れてくるという事もよくあります。
従って、勤務先の業績が良くても、自分の存在価値を常に高めるための努力を継続する必要があります。
外資系中小企業へ転職するメリット・デメリット:まとめ
以上、今回の記事では外資系中小企業に転職するメリットとデメリットを解説しました。
- 役割・裁量が大きい
- 制度設計に関わることができる
- 成長機会が多い
- 海外本社との関係を構築しやすい
- 自由な働き方を実現しやすい
- 報酬の設定が柔軟
- 転職回数・年齢に寛容
- 撤退・買収リスク
- 管理部門のサポート不足
- 福利厚生
- 個人プレーが中心
- 外部から優秀な人材が入ってくる
デメリットはあるものの、入社時の報酬を納得するまで話し合い、入社後には海外本社に対する存在感を高めることでそれ以上のメリットを享受することが可能です。
外資系中小企業に応募する場合は、外資系企業に強い転職エージェントを活用することをおススメします。
理由は、多くの外資系中小企業の場合、応募者個人が企業研究・面接対策のために必要となる情報が限られているからです。
転職口コミサイトをチェックしても口コミがまったく投稿されていない企業もあります。
転職エージェントを通じて応募すると、採用背景や社風をチェックしてもらえます。
また、一番のメリットは年収の交渉をしてもらえることです。
もし、外資系中小企業のメリットを魅力的に感じていただけましたら、ぜひ転職エージェントのサポートを受けながら応募してみてください。
この記事がみなさんの転職活動の参考になれば幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました!