「入社3年以内に転職するとやっぱり不利ですか?」という質問をよくいただきます。
わたしはこれまで10回転職していますが、その中で5回は入社3年以内に転職しています。
最短では在籍9か月の勤務先もありました。
ちなみにわたしは転職したばかりですが、現在も転職活動は継続しています。
なぜなら、これまでの経験からのわたしの結論は「良い転職機会は在籍年数にかかわらず、ある日突然やってくることが多い」からです。
これまで内定を得た企業からは、「前職の在籍年数よりも入社後活躍できるスキルと経験を持っていることの方が重要」とのフィードバックを頂いたこともあります。
いっぽう、特に保守的な日系企業との面接では、過去に在籍した勤務先の退職理由を何度も聞かれたことも少なくありません。
そこで、この記事では、わたしの実体験から「3年以内の転職は不利説」についてメリット・デメリットもふまえて解説したいと思います。
入社3年以内の転職が不利と言われる根拠
わたしは約30年前に社会人となりましたが、そのときは;
と言われることが一般的でした。
実際に当時新卒で入社した企業に長期間勤務している同級生も少なくありません。
当時の多くのビジネスパーソンの王道パターンは:
新卒入社した企業で手厚い新人教育 → 転勤・異動のローテーション → 年齢・在籍期間に見合った役職を用意してもらう → 役職定年でラインから外れる → 老後の生活費に充当できる退職金をもらって退職
といった流れだったのではないでしょうか。
この様なキャリアでは、確かに将来のメリットを享受する前に退職してしまうのは不利と言えるかもしれません。
しかし、今後もこの様な昭和型の雇用形態を維持するのかは、個別の企業の雇用の方針を確認した方が良いでしょう。
いっぽう、「入社3年以内の転職が不利」と言っているのが誰なのか確認してみましょう。
もし、
「昭和時代の価値観をひきずっている人」
「今まで転職したことがない人」
「あなたに辞められて困る現職の上司や先輩」
のような人たちがあなたを引き留めるためだけに言っているのであれば、いちど転職経験者の意見も聞いてみることをおススメします。
また、同調査で、直近1年間に転職活動をした人に早期離職と考える勤続年数のラインを聞いたところ、平均「12.5ヵ月」という回答結果でした。
このデータを見ると、3年という縛りが以前よりもなくなってきているのではないか、というのが私の実感です。
入社3年以内に転職:実体験からのわたしの結論
この記事のタイトルに「3年以内に5回転職した」、とありますのでわたしの結論はもうおわかりかと思います。
わたしは新卒入社の会社では入社2年経過したところで業績不振による大リストラが始まりましたので見切りをつけて退職しました。
自己都合の退職でしたが、2年で辞めたことがその後のキャリアでマイナスになったとは思いません。
むしろ、衰退する業界から早期に脱却できる機会をもらえて幸運だったとさえ思っています。
従って、3年という期間が重要なのではなく、自分のスキル・実績、採用企業のニーズ、市場のトレンドなどによって適切な転職のタイミングは決まるものだと考えています。
転職活動は採用企業がなんらかの理由(増員、補充)で募集を開始することで、その機会が訪れます。
あなたの理想とする転職機会と巡り合えるのは明日かもしれませんし、数年後かもしれません。
いっぽう、入社3年以内の転職にはメリット・デメリットがありますので、それぞれ解説します。
入社3年以内の転職活動のメリット
メリット① 若手の場合:即戦力としてのスキル・実績を強く求められない
入社後数年の若手の転職の場合、即戦力のスキル・実績はもちろんあるに越したことはないですが、第二新卒であれば転職市場で中堅以上の人材と比較して強く求められることはありません。
むしろ、人口の減少によって各企業の年齢構成上、スキル・経験不足には多少目をつぶって若手人材をポテンシャル採用しようとする企業も存在します。
「就活」というルーティン作業の中で自分の本当にやりたい仕事を見つけられなかった学生は一定数いると思われます。
若手人材の転職希望者としては、自身が考えるキャリアとマッチしない企業で時間を過ごすのではなく、早めに転職することで、よりフィットする環境で仕事をする機会が得られる可能性があります。
メリット② 労働市場における自分の価値を知ることができる
現在勤務している企業での評価と労働市場での評価が一致するとは限りません。
現在の勤務先では重視されなかったり、埋もれているスキル・個性でも他の企業ではよりフィットする可能性もあります。
逆に他の企業よりも現在の勤務先の方が高い評価をしているケースもあるかもしれません。
また、単に現在いる業界・企業の利益率・定着率が低いため、相場より価値になっている可能性もあります。
入社3年以内であっても転職活動をおこなって、労働市場での自分の価値を転職エージェント等からヒアリングしてみてください。
そうすることにより、現在の自分の市場価値や労働市場のトレンドを測ることができます。
そこで得られた「気づき」は今すぐ転職活動につながらなかったとしても、今後のキャリアプランのために現職でのモチベーションアップになる可能性があります。
メリット③ 成長業界にキャリアチェンジできる
業界によっても違いはありますが、一般的に成長産業・衰退産業におけるビジネス・雇用環境の変化は非常に早いです。
いま時代のニーズに応えられていない企業に勤務しているかも、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
早期に実績を積み上げて3年を待たずに早めに成長産業へキャリアチェンジをした方がその後のキャリアが充実すると考えられます。
わたしのミドル・シニア世代の知人でアナログ産業からデジタル産業へのキャリアチェンジを逃したことで、このまま定年まで逃げ切れるか不安な日々を過ごしている人もいます。
まだまだ新しい環境への順応が可能な段階で成長産業へのキャリアチェンジが早期に実現できると、直近・生涯における待遇の改善も期待できます。
入社3年以内の転職のデメリット
デメリット① 転職回数が1回増える
わたしくらいの転職回数(10回)になると転職回数が1回増えたところでいまさら大きなインパクトはありません。
しかしながら、2回目から4回目くらいですと、日系企業、特に保守的な企業ではいまだに選考の条件として「転職回数は〇回まで」というルールを設けているところがあります。
転職回数が増えると、応募できる企業が減るということは認識しておきましょう。
特に転職回数に比較的寛容なベンチャー企業や外資系企業が少ない地域ではより応募できる企業の数が限られてしまいます。
実際にはわたしは10回転職しているので、選択肢が減るというデメリットは実感しています。
また、大手の日系転職エージェントに登録しても、求人案件の紹介は外資系のエージェントよりも圧倒的に少ないのが実情です。
デメリット② 退職理由・志望動機の説得力
入社して短期間で転職する場合、採用企業側の最大の懸念は:
- 「ウチに入社してもすぐに辞めてしまうのではないか」
- 「即戦力として十分なスキル・経験を有していないのではないか」
でしょう。
自分が応募した求人案件に経歴書のキレイなライバルがいる場合、そのハンデはより際立ちます。
そんなライバルに勝つためには、採用企業の懸念を払しょくするような退職理由・志望動機が求められます。
在籍期間が短くても今までに積み上げてきた実績を少しでも一貫性のあるストーリーで説明しなければなりません。
デメリット③ 転職先によっては経験・人脈がリセットされる
短期間での転職に限りませんが、転職すると社内の人間関係はリセットされますし、転職する企業・業界によってはスキル・経験もリセットされることになります。
中途入社者は基本的に即戦力と期待されていますので、これらのハンデがあっても既存の社員と同等以上の高いパフォーマンスが求められます。
いま在籍している会社から退職することを優先して転職を考えてしまうと、この辺りのリスク評価が甘くなり、転職後に想定以上に苦労する、というリスクがあります。
デメリット④ 退職金・ローンなど
退職金規程の内容は企業によって様々です。
在籍年数に応じて係数が上昇するところや在籍〇年以上が支給の対象となっているケースもあります。
退職金は従業員を長期間勤務させる動機付けのために設計されていることが多いので、短期間で退職することにより金銭的にデメリットを被ることがあります。
また住宅ローンや不動産投資ローンの利用を考えている人は注意です。
短期間での転職はローンの審査にマイナスの影響を与えることもあります。また、転職後はしばらくローンの申し込みができない可能性もあります。
転職するにあたっては、ライフプランへの影響も考慮する必要があります。
入社3年以内の転職は不利ってホント? まとめ
以上、この記事では
- 入社3年以内の転職が不利と言われる根拠
- 入社3年以内に転職:実体験からのわたしの結論
- 入社3年以内の転職のメリット
- 入社3年以内の転職のデメリット
について解説しました。
デメリットのところで解説したとおり、短期間で転職する場合、採用企業の懸念を払しょくするためには説得力のある退職理由と志望動機が求められます。
ひとつの解決策として、わたしの経験から転職エージェントに相談されることをおススメします。なぜなら以下のメリットがあるからです。
- 転職回数に寛容な企業を紹介してくれる(ただし、ブ〇ック体質の企業等は自分でもリサーチする必要あり)
- 採用企業の担当者から求める人物像をヒアリングしてくれている
- 過去に同じような事情の応募者のサポートを行い、退職理由や志望動機の書き方・面接対策のノウハウが蓄積されている
実際にわたしの場合は直近の4回はすべて転職エージェントのサポートによって実現しました。
他の選択肢としては、もしあなたの人柄やビジネスパーソンとしてのポータブルスキルを評価してくれる友人・知人がいればリファラルによる応募も効果的だと思います。
入社後短期間での転職は確かにデメリットが存在しますが、それらのデメリットを上回るメリットに巡り合う可能性があるのであれば在籍期間に縛られる必要はありません。
また、晴れて転職先が決まった場合は、現職での在籍期間が短かったとしても(短かったからこそ)、同僚への感謝の気持ちを伝えることと求められている以上の引継ぎを行うことをおススメします。
去り際の印象はとても大事ですし、短期間のお付き合いであったとしても、今後またどんなご縁があるか分かりません。
少しでも転職に悩む方の参考になれば幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました!
筆者おすすめの転職エージェント
実際にわたしが登録して応募・面接のサポート、オファーの条件交渉などを行っていただいたエージェントになります。これらの転職エージェントには40代以降になっても求人案件をご紹介いただいています。
それぞれ別の記事でも詳しく解説していますので、よかったらあわせてご覧ください。
MS-Japan(エムエスジャパン)
MS-Japanは管理部門の職種に特化した転職エージェントです。わたしは登録して10年以上になりますが、登録していて実感しているメリットは以下の5つです。
- キャリアアドバイザーの質が高い
- 優良な案件が多い
- 日系・外資系両方の案件を扱っている
- 管理部門の案件を専門的に扱っている
- ミドル層のみではなくシニア層(50歳以上)の案件にも力を入れている
職種専門型の転職エージェントになりますので、他の総合型エージェントとの併用をおススメします。
ロバート・ウォルターズ
ロバート・ウォルターズはロンドンに本拠地を構える外資系・グローバル企業特化型エージェントです。
わたしは5年以上登録しておりますが、ここ数年はわたしのお付き合いのある転職エージェントの中で一番多くの案件をご紹介いただいています。
わたしが実感しているロバート・ウォルターズのメリットは以下の5つです。
- 外資系の案件が豊富
- 他の外資系特化型エージェントと比較してキャリアコンサルタントの質が高い
- 優良・高収入の案件が多い
- ミドル・シニア層の案件も比較的多い
- 実務経験があればTOEICのスコアを問われない
外資系企業を選択肢に入れている方は登録必須の転職エージェントと言えると思います。
エンワールド・ジャパン
エンワールドも外資系・グローバル企業特化型エージェントで、わたしは登録して10年以上になります。入社後の活躍までサポートすることをアピールしており、わたしも実際に入社後にトラブルを解決していただいたことがあります。
わたしが実感しているエンワールドのメリットは以下の5つです。
- 外資系・グローバル企業の案件に特化
- 転職後のフォロー体制が充実
- 他の外資系特化型エージェントと比較してキャリアコンサルタントの質が高い
- 優良・高収入の案件が多い
- ミドル・シニア層の案件も比較的多い