これから転職活動を始めようする方で、どの転職エージェントに登録すれば良いのか悩まれている方は多いと思います。
わたしも転職活動を始めたころは、とりあえずネットで検索して見つけたエージェントやCM等で目にしたエージェントに手当たり次第登録していました。
しかしながら、自分の目的に合わない転職エージェントに登録してしまうと、登録や面談の対応に時間ばかり取られてしまいます。
また、興味のない案件に何度も応募を勧められたり、案件がまったく紹介されないストレスを感じることもありました。
わたしはこれまで30社以上の転職エージェントに登録し、10回の転職経験のうち5回は転職エージェントのサポートによって実現しました。
その経験から得られたコツを紹介させていただきます。
それでは自分に合った転職エージェントの選び方について解説していきます!
転職エージェントに登録する前にやるべきこと
転職エージェントにコンタクトする前に、まず自分で準備するべきことがあります。
わたしはこれをやらなかった為に、転職エージェントから紹介された企業に応募を繰り返し、そのほとんどが書類選考または一次面接で見送りとなっていました。
その原因は、自分の「転職の軸」が定まってなかったからです。
まず最初にやるべきことは、自分の転職の目的と優先順位を整理することです。
転職エージェントは、応募者が採用企業に採用されることによって成功報酬を得ることができます。
従って、転職エージェントは応募者のサポーターであるいっぽう、転職エージェントにとっては自分が推薦した応募者が採用されることが最大の目的になります。
わたしたちが自分のペースで転職活動をおこない、理想の転職を実現するには、自分の転職の軸と優先順位をしっかり準備したうえで転職エージェントと適切な距離感でコミュニケーションを取ることが必要です。
わたしが自分の転職の軸と優先順位を検討する際に参考にさせて頂いた書籍を紹介します。サイエンスライターの鈴木裕さんによる著書「科学的な適職」です。
経済的な成功を目的としたオファーを勝ち取る、といった典型的な転職の手法とは違い、「幸福度や満足度を指標化して自身のキャリアを科学的に評価する」というアプローチになります。
転職活動においては、どうしても現職のマイナス点に焦点を当ててしまい、隣の芝生が青く見えがちになります。
本書ではそういったバイアス(自分の脳のバグ)を取り除くための分析方法も解説されています。
転職エージェントを利用するメリット5つ
次に簡単に転職エージェントを利用するメリットを紹介します。
求人情報を得る方法としては、他にも転職サイト、ハローワーク、リファレンス(知人の紹介)、SNS等があります。
既にこれらの方法で活動されている方もいらっしゃるかもしれませんが、転職エージェントを利用することで他の方法にはない以下の5つのメリットが得られます。
- 転職市場の最新情報が得られる
- 面接指導・応募書類の添削が受けられる
- 非公開求人の紹介
- 募集案件の背景などの情報が得られる
- 条件交渉を行ってもらえる
転職エージェントを利用するメリット① 転職市場の最新情報が得られる
転職エージェントは常に最新の転職市場の最新情報をもっています。
現職の業務で多忙な応募者個人と常に転職市場をウォッチしている転職エージェントの情報収集力は比較になりません。
また、情報の中にはまだメディアでは露出されていない様な転職エージェントが独自で入手したものも含まれます。
転職エージェントとの面談では、自分の希望する業界・職種について最新情報をもらうようにしましょう。複数の転職エージェントからもらうとなお良いでしょう。
転職エージェントを利用するメリット② 面接指導・応募書類の添削が受けられる
転職エージェントには求職者と募集企業の豊富なデータがあります。
これまでの成約事例から最適な面接指導や応募書類の添削のサービスを無料で受けることができます。
転職サイトを利用をする方もまずは転職エージェントの添削を受けてから転職サイトに職務経歴書を登録することをおススメします。
特に外資系企業に応募する場合は、ネイティブスピーカーのキャリアコンサルタントに書類や自己紹介の表現などを応募前に確認してもらっておくと安心です。
転職エージェントを利用するメリット③ 非公開求人の紹介
各転職エージェントが公式サイトでもアピールしていますが、採用企業側の事情で転職サイトや企業HPでは公開されていない求人は存在しています。
一例でいいますと、リクルートエージェントの非公開求人数は約30万件です(2023年7月現在)。
転職エージェントを利用することにより、こういった非公開求人の情報を得ることが可能となります。
転職エージェントを利用するメリット④ 募集案件の背景などの情報が得られる
転職エージェントは、採用企業から求人案件を預かる際に採用部門や人事部門から採用の背景を直接ヒアリングしています。
また、求人票には書かれていない求める人物像などの情報が得られることもあります。
登録者が応募の検討や面接対策を行う際に、これらの情報はとても参考になります。
転職エージェントを利用するメリット⑤ 条件交渉を行ってもらえる
直接応募で内定・オファーを獲得した場合、その後の条件交渉は本人が直接採用企業側とおこなわなくてはなりません。
わたしも経験がありますが、なかなか一個人が企業との交渉で条件の落としどころを見極めるのは難しいのが実情だと思います。
転職エージェントを利用すると、過去のデータや同業種・同職種の相場から合理的な範囲で条件交渉をおこなってもらうことができます。
自分に合った転職エージェントの選び方:失敗しないための重要な5つのポイント
さて、自分の転職の軸をもち、転職エージェントのメリットを理解したところで、ここでは自分に合った転職エージェントを選ぶためのポイントを解説します。
大手転職エージェントのサイトでは「取扱い案件数〇〇万件」という記載をよく見かけます。
しかしながら、登録者にとっては、実際に自分に紹介される案件数が重要です。
わたしの場合は、年齢や転職回数のこともあり、多くの案件を扱う大手総合転職エージェントからはほぼ紹介がありません。
一方で、大手ほど取扱い案件数の多くない「業界・職種特化型のエージェント」からは定期的に紹介があります。(わたしの転職活動記録はこちらの記事からチェックできます)
自分に合った転職エージェントを選ぶための重要な5つのポイント
- 日系企業・外資系企業
- 業界・業種
- 年齢・役職
- 年収レンジ
- サービスの質
これら転職エージェントを選ぶ際に重要な5つのポイントを順番に説明してきます!
ポイント① 日系企業・外資系企業
わたしは日系企業6社と外資系企業4社に在籍した経験がありますが、両者の採用プロセスはまったく異なります。
外資系企業に応募する場合、日本語の職務経歴書を英訳するだけでは不十分です。
英文レジュメの作成や面接対策は別途取り組む必要があります。
外資系企業を検討している場合は、外資系企業の採用プロセスや人事制度に精通している外資系企業に特化している転職エージェントへの登録も検討する必要があります。
また、英語面接が想定される場合は、ネイティブスピーカーのコンサルタントと模擬面接をしてもらえると心強いでしょう。
ポイント② 業界・職種
大手転職エージェントは総合デパート型のエージェントであり、ほぼすべての業界・職種の案件を網羅しています。
一方で自分が狙っている業界・職種を専門に扱っている専門店型のエージェントがある場合は、あわせて登録を検討しましょう。
専門店型エージェントのメリットは、転職エージェントの担当者がその業界や職種に精通していることです。
担当者によっては、みずからがその業界・職種の経験者であり、案件の紹介だけでなく、その業界・職種のキャリアパスをアドバイスしてもらえる可能性もあります。
なぜなら業界・職種特化型のエージェントにはこれまで採用を支援してきたスペシャリストのデータベース・人脈があるからです。
さらに、総合デパート型のエージェント比較して、専門店型エージェントは専門性を持つ人材であれば、ミドル世代以上の求職者にも案件を紹介する傾向があります。
また、特定の地域で転職先を探す場合は、その地域に特化している転職エージェントやその地域に支店を持つところをチェックしてみましょう。
ポイント③ 年齢・役職
各転職エージェントがターゲットにしている求職者の年齢層や役職をチェックしましょう。
経営層や上位管理職のポジションを探しているベテランの人材が、若手から中堅の人材の案件を中心に扱っている転職エージェントに登録してもほぼ案件の紹介は期待できません。
最近は大手転職エージェントでも別のサービスブランドでミドル世代以上の転職支援を提供しているところがありますので確認してみましょう。
また、ベテラン層を扱っている転職エージェントは個人または少人数で経営されている個人商店タイプも選択肢になります。
LinkedInやリクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)などの転職サイトに自分の経歴を登録していると、こうした個人商店タイプの転職エージェントからコンタクトを受ける可能性があります。
LinkedInの効果的な利用について学びたいひとにはこちらの書籍をおススメします。
採用企業側、転職希望者側、両方の活用方法が具体的に解説されているため、利用するうえで大変参考になります。
ポイント④ 年収レンジ
年齢・役職と同様ですが、取扱い案件数の総数よりも自分が希望している年収レンジの案件が実際にどのくらいあるのかが重要です。
各転職エージェントのサイトでは年収レンジで絞り込みをかけて案件を検索することができますので、登録前に確認してみましょう。
一例として、以下の条件で総合型エージェントと職種特化型エージェントの案件数の比較をおこなってみました。
検索条件
- 職種:法務・知財
- 年収:600万円以上
案件数:
- doda:2,120件
- MS-Japan:652件
- JACリクルートメント:300件
『MS-Japanの取り扱い件数は、総合型のdodaよりは少ないが、ハイクラス転職に強いと言われるJACリクルートメントよりは多い』
という結果になりました。
つまり、法務職で600万円以上の案件を探している人はJACリクルートメントよりもMS-Japanの方が案件数の面では合っているという事になります。
また、高収入案件を探している方の場合は、転職エージェントに中にはハイクラス求人に特化した別ブランドのサービスを提供しているところもあります。
ポイント⑤ サービスの質
サービスの質については、30社以上に登録したわたしの経験の実感としては、大手転職エージェントは豊富なデータと使いやすいシステムを持っているのが特徴です。
一方、登録者に対する対応はマニュアル通りでドライな印象です。
一方で専門店型や個人商店型はよりアナログなサービスですが、面接指導などの点にといては、より求職者に寄り添った対応をする傾向があります。
ただし、マニュアルが徹底されていない分、担当者の対応に個人差があります。
転職活動をこれから始められる方は大手転職エージェントに加えて専門店型や個人商店型のエージェントとも面談されることをおススメします。
各転職エージェントにはそれぞれの強み・弱みがあります。
これらのポイントをチェックして自分に合ったサービスを提供している転職エージェントを探しましょう。
転職エージェントのサービスを引き出すコツ3つ
①可能な限り直接会う
転職エージェントは、応募書類を採用企業に提出する際に候補者の推薦状を添えることが一般的です。
もちろん転職エージェントもプロなので、応募書類や電話でのヒアリングでもある程度の情報を把握することはできます。
しかしながら、「人の印象は見た目が〇割」という説もあります。
これから重要な転職活動のパートナーとしての相性を対面で測ることも重要です。
自分自身のことをより知ってもらって充実した推薦状を書いてもらうためにやはり直接会うか、Web面談をおこなうことをおススメします。
②自分の優先順位を明確にして共有する
自分の希望をすべて満たす案件はまずありませんし、あまりに多くの希望を伝えると案件も紹介されなくなってしまいます。
一方で、自分の中で譲れないポイントは明確にしておかないと転職エージェントのペースで転職活動をおこなってしまいかねません。
転職エージェントとの面談を通じて自分の市場価値を把握しながら、自分の優先順位を整理して共有しましょう。
そういったコミュニケーションを重ねることでより転職エージェントからの紹介案件の精度が上がっていきます。
③返信は迅速におこなう
転職エージェントは数多くの案件と登録者を抱えています。その中で、転職エージェントに「この登録者はサポートしたい」と思ってもらえることが重要です。
また、求人案件も人気企業の場合は、募集開始から1週間程で締め切られるケースもあります。転職活動においてタイミングは非常に重要な要素です。
少しでも気になる案件があったら、転職エージェントに対する連絡は可能な限り迅速におこなう様にしましょう。
また、自分の希望に合わない案件だった場合は、どういったポイントが合わなかったのか共有することで今後の案件の精度が上がることもあります。
自分に合った転職エージェントの選び方:まとめ
以上、今回の記事では自分に合った転職エージェントの選び方について解説しました。
自分に合った転職エージェントを選ぶための5つのポイント
- 日系企業・外資系企業
- 業界・業種
- 年齢・役職
- 年収レンジ
- サービスの質
それぞれの転職エージェントにはメリット・デメリットがありますので、複数の転職エージェントに登録してそれぞれのデメリットを補完するようにしましょう。
また、登録した転職エージェントから十分なサポートが得られなかったり、担当者との相性が良くない、と感じることもあるかもしれません。
そのような場合には担当者の変更を依頼したり、他の転職エージェントを開拓することも検討してみましょう。
この記事が少しでもみなさんのお役に立ちますと幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました!