外資系企業の年収は高いっていうイメージはありませんか?
転職サイトや転職エージェントの情報によると、外資系企業の平均年収は800万円程度と言われています。
いっぽう、国税庁の統計によると日本の平均年収は433万円となっており、統計上の比較では外資系企業の平均年収はおよそ2倍となります。
わたしは5回目の転職時に初めて日系上場企業から外資系企業に転職しました。
その際に入社時にプラス100万円、さらに入社後の成果・評価によってさらにプラス250万円以上の昇給を実現しました。
もしも日系企業に留まっていたらこの様な昇給はあり得ませんでした。
そこで、この記事では、外資系企業の年収が高い理由を5つ紹介し、さらには転職で高収入の外資系企業を狙う方法を5つご紹介します。
記事を読み終えると、外資系企業の報酬の背景を理解し、高収入の求人案件を狙うことができます。
それでは、外資系企業の年収が高い理由について解説していきます!
外資系企業と日系企業の年収比較
それでは、まずは外資系企業と日系企業の年収を比較してみます。
ここでは、外資系企業をはじめ、ハイクラス求人案件を扱うJACリクルートメントが2022年1月に公開した統計から筆者がピックアップしたポイントを紹介します。
外資系企業と日系企業との間で差の大きい業界
まずは年収の差が大きい業界の代表として、高年収のイメージが強い金融業界の外資系企業と日系企業の年収を比較します。
ポジション | 日系企業 | 外資系企業 |
---|---|---|
課長級 | 600 – 1,200 | 800 – 1,500 |
部長級 | 800 – 1,500 | 1,000 – 2,000 |
役員級 | 1,000 – 4,000 | 1,500 – 5,000 |
出典:JACリクルートメント:外資系企業の年収傾向-業界・年齢別の年収UP方法-2022年最新
最大値で課長級で300万円、部長級で500万円、役員級で1,000万円の差となっています。
外資系企業と日系企業との間で差の小さい業界
次に、他の業界と比較して利益率が低いといわれる製造業界の外資系企業と日系企業の年収を比較します。
ポジション | 日系企業 | 外資系企業 |
---|---|---|
課長級 | 600 – 1,100 | 700 – 1,200 |
部長級 | 800 – 1,500 | 1,000 – 1,800 |
役員級 | 1,000 – 5,000 | 1,200 – 5,000 |
出典:JACリクルートメント:外資系企業の年収傾向-業界・年齢別の年収UP方法-2022年最新
最大値で課長級で100万円、部長級で300万円となっており、役員級では、最小値で200万円の差がありますが、最大値では差がありません。
すべての業界・役職で差が大きいとは言えない
統計からは外資系企業と日系企業の間では年収の差が大きい業界とあまり変わらない業界があることが分かりました。
両者の年収の差が小さい業界では、外資系企業特有のリスクを負ってまで転職する理由はあまりないかもしれません。
外資系企業への転職といえども、同業界・同職種・同役職の転職では恐らく大きな年収アップを見込むことは難しいでしょう。
ただし、1回慣れ親しんだ業界で外資系企業を経験し、その後年収の高い業界の外資系企業に転職するという戦略はありだと思います。
また、平均年収で約2倍の差でなっている理由としては:
- 外資系企業の年収の上限の設定が高いことと
- 最低年収の下限が日系企業より高いこと
が考えられます。
外資系企業が高年収である5つの理由
こちらでは、外資系企業の年収が高い理由を5つ説明します。
外資系企業が高年収である5つの理由
- ジョブ型雇用と市場価値
- グローバル経営による生産性
- 専門性×語学力
- リスクプレミアム
- 採用部門の裁量・権限
①ジョブ型雇用と市場価値
伝統的な日系企業がメンバーシップ型雇用であるいっぽう、外資系企業はジョブ型雇用が一般的です。
ジョブ型雇用では役割と求められる専門性が明確に設定され、それらに見合った人材が採用されます。
従って、求められる専門性と市場価値の相関性が高いのです。
つまり、人材の市場価値、人材に対する成果の期待値といった要素で年収が決まります。
いっぽう、メンバーシップ型雇用では専門性の高い人材も低い人材も同じ評価制度で管理されます。
労働市場の価値とは関係なく、その企業独自の評価制度と社内の相対評価によって、年収が決まります。
そのため、専門性の高い人材の給与も専門性の低い人材の給与に引っ張られて均されてしまいます。
②グローバル経営による生産性
日本に進出している外資系企業は、既に海外本社のある国・地域やその他の地域で既に成果を出している商品・サービスをもっていることがほとんどです。
つまり、日本市場に参入するにあたっては、自社の商品・サービスをローカライズするだけで済みます。
あとは現地で優秀な管理職と営業担当者をヘッドハンティングで採用し、最低限の管理部門を用意すれば日本でのビジネスが展開可能となります。
商品・サービスの開発コストが必要ないので、生産性と利益率の高い構造となり、その分人材の獲得にコストを割くことができるのです。
③専門性×語学力
外資系企業の採用では、専門性が重視されます。
さらにその専門性を海外本社のある国の言語で発揮できる人材となると労働市場ではその数が限られます。
こういった人材を採用するには待遇に付加価値を付ける必要があります。
現職の業務で専門性を高めることに加えて、英語のスキルもコツコツと学習を積み重ねて備えておきましょう。
英語の面接対策でおススメのアプリがAI英会話アプリの「ELSA Speak」です。
忙しいビジネスパーソンでもスキマ時間で自分に合ったペースでレッスンを受けることができます。
ELSA Speakについては、こちらの記事で詳しく説明していますのでぜひご覧ください。
④リスクプレミアム
外資系企業は日本から撤退したり、すぐに解雇(クビ)になるリスクを感じて躊躇されている方もいらっしゃると思います。
従って、採用する側もそのリスクを負ってでも入社してもらえる様に、提示する報酬にはそのリスクもプレミアムとして加味することが一般的です。
⑤採用部門の裁量・権限
メンバーシップ型雇用が主流の日系企業では人事部門が全社の報酬制度を管理します。
採用活動においても、その制度に従ってオファーを作成します。
仮に採用部門が報酬テーブルを超える優秀な人材と出会ったとしても、報酬制度内のテーブルにはめられてしまいます。
そのため、せっかくの優秀な人材に対して市場価値に見合ったオファーができないことも多々あります。
外資系企業の場合は、採用する人材の予算は採用部門が裁量・権限を持つケースが多いです。
つまり、採用する人材のポテンシャルによって、市場価値を反映した柔軟な報酬を決定することができます。
わたしは応募前に採用企業の予算を聞くようにしていますが、外資系企業の場合はいつもかなり幅のある金額の回答が多いです。
転職で高年収の外資系企業を狙う5つの方法
高年収の外資系企業を狙う5つの方法
- グローバル企業を狙う
- 高収益体質・将来性のある業界を狙う
- 新規事業の部門を狙う
- 新設された会社でポストを狙う
- 入社後に海外本社のポジションを狙う
①グローバル企業を狙う
グローバル企業は生産性と利益率が高いことを説明しました。
また、給与レベルが本社のある国や欧米の物価に応じて設定されていることから、相対的に日本でオファーできる金額も高くなります。
以前は日系企業よりも福利厚生の点で劣ると言われていました。
しかし、現在は優秀な社員を定着させるために様々な制度を導入している外資系企業も増えています。
利益率が高い企業とグローバル企業という組み合わせは高年収を狙うための王道と言えます。
②高収益体質・将来性のある業界を狙う
外資系企業の転職に限りませんが、やはり高収益体質・将来性のある業界は優秀な人材を獲得するための予算が潤沢にあります。
また、成長企業では、成熟産業と比較するとまだ狙えるポストが空いている場合もあります。
成熟産業のマネージャー(課長級)のポジションから成長企業のディレクター(部長級)を狙う、といったキャリア戦略も考えられます。
③新規事業の部門を狙う
外資系企業が新規事業の部門を新設する場合、外部から経験者を採用することが一般的です。
その場合、相場よりも高い報酬を提示するケースがあります。
新規事業にはリスクが伴うので、報酬にリスクプレミアムを付けて、優秀な即戦力の人材を獲得する狙いがあるからです。
わたしも実際に新規事業の部門に転職した際には、オファー時に年収ベースで100万円のプレミアムを付けていただいたことがあります。
その分、新規事業には事業撤退などのリスクがあります。
新規事業への転職のリスクは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
④新設された会社でポストを狙う
外資系企業が日本に進出する場合、3つの方法が考えられます。
- 100%子会社を設立
- 他の企業と合弁会社を設立
- 他の企業を買収
このうち、100%子会社を設立する場合、いちから組織を作り上げていく必要があります。
経営陣や事業部責任者は海外本社から派遣されたり、独自のネットワークでヘッドハンティングすることが多いです。
従って、これらのポジションはあまり転職市場には出てきません。
いっぽう、それより下の階層のポジションは転職エージェントやLinkedIn等を通じて求職者にアプローチされます。
新設される組織では、現職以上のポジションを狙うことが可能です。
入社時には現職と同じポジションであっても、その後昇進で上のポストを狙って年収を上げる、といったキャリアプランが考えられます。
さらに、ストックオプションが付与され、将来的に株価が上がった場合にはその恩恵を受けることもできます。
いっぽう、新規事業への転職と同様に外資系企業ならではの撤退リスクとは向き合うことになります。
⑤入社後に海外本社のポジションを狙う
グローバル企業では、海外子会社の社員が海外本社のポジションに応募できる制度を導入しているところがあります。
一般的には子会社よりも親会社の方が裁量・責任が大きいため、年収も高くなります。
まずは日本の子会社に入社し、そこで実績を積み上げて、海外本社のポジションを獲得することによって年収を上げることが可能です。
外資系企業への転職:筆者が登録しているおすすめの転職エージェント
実際にわたしが登録して応募・面接のサポート、オファーの条件交渉などを行っていただいたエージェントになります。
これらの転職エージェントには40代以降になっても求人案件をご紹介いただいています。
それぞれ別の記事でも詳しく解説していますので、よかったらあわせてご覧ください。
ロバート・ウォルターズ
ロバート・ウォルターズはロンドンに本拠地を構える外資系・グローバル企業特化型エージェントです。
わたしは5年以上登録しておりますが、ここ数年はわたしのお付き合いのある転職エージェントの中で一番多くの案件をご紹介いただいています。
わたしが実感しているロバート・ウォルターズのメリットは以下の5つです。
- 外資系の案件が豊富
- 他の外資系特化型エージェントと比較してキャリアコンサルタントの質が高い
- 優良・高収入の案件が多い
- ミドル・シニア層の案件も比較的多い
- 実務経験があればTOEICのスコアを問われない
外資系企業を選択肢に入れている方は登録必須の転職エージェントと言えると思います。
エンワールド・ジャパン
エンワールドも外資系・グローバル企業特化型エージェントで、わたしは登録して10年以上になります。
入社後の活躍までサポートすることをアピールしており、わたしも実際に入社後にトラブルを解決していただいたことがあります。
わたしが実感しているエンワールドのメリットは以下の5つです。
- 外資系・グローバル企業の案件に特化
- 転職後のフォロー体制が充実
- 他の外資系特化型エージェントと比較してキャリアコンサルタントの質が高い
- 優良・高収入の案件が多い
- ミドル・シニア層の案件も比較的多い
外資系企業の年収が高い理由:まとめ
以上、今回の記事では外資系企業の年収が高い理由を解説しました。
- ジョブ型雇用と市場価値
- グローバル経営による生産性
- 専門性×語学力
- リスクプレミアム
- 採用部門の裁量・権限
- グローバル企業を狙う
- 高収益体質・将来性のある業界を狙う
- 新規事業の部門を狙う
- 新設された会社でポストを狙う
- 入社後に海外本社のポジションを狙う
外資系企業の報酬は一定の基準はありますが、やはり企業やポジション、採用のタイミングによる変動が大きいのも事実です。
こうした内部事情を知るには、やはり転職エージェントのサポートが不可欠です。
外資系企業で年収アップを狙う場合は、
ランスタッド等の外資系企業に強い転職エージェントに登録することをおススメします。
採用企業の内部情報に精通しているだけでなく、現実的な落としどころで年収交渉をおこなってもらえることも大きなメリットです。
いっぽう、外資系企業には高年収ではあるものの、リスクがあるのも事実です。
外資系企業のリスクについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
最後まで読んで下さりありがとうございました!