外資系企業への転職を検討している方は、
「外資系企業ではどんなスキルが求められるのか?」
「英語力は実際どの程度求められるのか?」
「外資系企業で活躍しているのはどんな人なのか?」
といった疑問を持っているかと思います。
外資系企業で成果を出すためには、日系企業とは違ったスキルを求められます。また、採用プロセスでも日系企業とは違ったスキルが求められます。
実際、わたしは日系企業5社を経験してから初めて外資系企業に転職しましたが、入社当初はその独特のカルチャーと評価されるポイントの違いに戸惑いました。
また、そのときは直接応募でしたので、採用プロセスも日系企業と違うことも多く、内定に至るまで試行錯誤の連続でした。
そこでこの記事では、外資系企業4社での勤務経験がある筆者が、外資系企業で活躍するビジネスパーソンの特徴を解説します。
また、よくご質問のある英語レベルと採用プロセスで必要となるスキルについても触れたいと思います。
この記事を読み終えると、外資系企業で求められるスキルが理解でき、入社後をイメージしながら、効果的に応募書類の作成や面接対策をおこなえるようになります。
それでは、外資系企業で活躍するビジネスパーソンの特徴について解説していきます!
日系企業と外資系企業の違い
まず最初に簡単に日系企業と外資系企業の特徴を4つのポイントから比較します。
年功序列 vs 実力主義
一般的に日系企業における報酬は、在籍期間や年齢によって決まります。
実力や成果が反映される様にはなってきていますが、年功の要素がまだまだ強いのが特徴です。
いっぽう外資系企業では、年齢や在籍期間はほぼ考慮されません。役職のレベルと企業・個人の成績・実績が報酬や昇進の決定要素となります。
従って、日系企業とは違い、同じ年代であっても同僚がいくらもらっているのかは想像もつきません。
終身雇用 vs 短期雇用
日系企業も外資系企業も正社員は期間の定めがない採用である点では同じです。
ただし、外資系企業で実際に長期間同じ企業に在籍し、定年を迎えることは非常にまれです。
日系企業では、年功序列の給与体系と退職金によって、社員が長期間在籍する動機付けをおこなっています。
外資系企業では毎年のパフォーマンスが重視され、社員も自分でキャリアをデザインすることが一般的です。
また、会社や自分を取り巻く環境が変化することも多いので、長期的に同じ企業に在籍するメリットを感じていないのが実態です。
メンバーシップ雇用 vs ジョブ型雇用
日系企業では、一部の専門職とマネージャー以上の採用を除き、専門性よりも汎用的なスキル、協調性や社風への適応性が求められることが多いです。
日系企業に入社すると、勤務先の方針に従って様々な部門や勤務地を経験します。
いっぽう外資系企業では、採用時に役割と職務内容の詳細が定義され、待遇もその内容に応じて決定されます。
従って、基本的には入社時に合意した職務内容に従って自分の専門分野の業務を継続することになります。
「あなたの仕事は?」と聞かれると、日系企業は所属企業を回答する人が多いですが、外資系企業の社員は自分の専門性を回答する人が多いです。
チームワーク vs 個人主義
外資系企業でもチームワークは必要ですが、日系企業の様な「和をもって貴しをなす」という文化はありません。
外資系企業では、年齢、国籍、人種、性別が多様な社員がそれぞれ自分の成果目標を課されています。
自分の成果目標を達成するかどうかが自身の報酬に直結しますので、どうしても自分ありきの発想になります。
チームの事情や相手をリスペクトはしますが、自分の主張もはっきりおこないます。
外資系企業で求められる5つのスキル
日系企業と外資系企業の特徴を比較できたところで、次に外資系企業で求められる5つのスキルについて説明します。
スキル① 新しい環境への適応力
外資系企業では即戦力としての採用が一般的です。従って、入社したらすぐに期待されているパフォーマンスを発揮することが求められます。
もちろん、入社時のオリエンテーションやオンボーディングを実施する企業もありますが、基本的に自らその会社の文化や業務プロセスに早期に適応する能力が必要となります。
日系大手企業の様に入社後しばらく手取り足取り指導してもらえることは期待できません。
いきなりすべての業務を完璧にこなすことはなくても、入社時から新しい環境に適応し、能動的に自分のタスクや情報収集をこなしていくスキルが必要になります。
スキル② 多様な環境でのコミュニケーション力
外資系企業の特徴でも紹介したとおりですが、外資系企業には様々なバックグラウンドをもった社員が在籍しています。
言語や習慣を超えて、自分の業務を遂行するうえで、こういった多様な社員とのコミュニケーションはひんぱんに発生します。
日系企業ではみなまで言わない様なことでも、明確かつ論理的に説明する必要があります。
また、基本的に外資系企業の社員は個人主義です。
自分のために動いてもらうための動機付けのコミュニケーションにおいても様々な工夫や利害調整のスキルが必要になります。
スキル③ 変化への対応力
外資系企業に勤務していると、日系企業以上に大小様々な変化に直面します。
勤務先が買収したり・売却されたり、新規事業に参入・撤退したり、上司・同僚が転職したり、業務のフローが変わったり、といった変化がいつでも起こりえます。
こういった変化が起こっても、自分の業務のやり方を微修正・アップデートしながらパフォーマンスを落とさないスキルが必要です。
前例や過去の習慣にこだわっていると、あっという間に取り残されてしまうリスクがあります。
スキル④ 成果のアピール力
外資系企業の報酬・昇進は自分自身の成果で決まります。
従って、外資系企業の社員は、会議や上司との面談の場ではしっかり自分の成果をアピールします。
また、同時に同僚の成果を賞賛する文化もあります。
外資系企業の会議の場では、上司や本人が自分の成果を報告し、それを聞いた同僚が祝福する光景を本当によく目にします。
日本人としてはやや気後れする文化かもしれません。
しかしながら、周囲に自分の成果を認めてもらうことは、外資系企業で生き残るために必要なスキルとなります。
スキル⑤ 鈍感力
わたしは外資系企業4社を経験しましたが、外資系企業の日本支社のマネジメントレベルには鈍感力のある人が多い印象をもっています。
以前在籍した外資系企業で、部下50人をもつ事業部長がいたのですが、部下に対するストレートな言動や過大なプレッシャーから、部下50人のほとんど全員から嫌われていました。
ただ、本人はハートが強いのか天然なのか、自分が嫌われているとはまったく気づいておらず、自分の言動を改めることは一切しませんでした。
細かい事を気にしていたら海外本社から課されている厳しい目標を達成できないという一面もあると思います。
しかしながら、わたしの印象としては、性格的にあまり周りを気にせず我が道を行くタイプの人が経営陣レベルまで出世しています。
外資系企業のマネジメントレベルでは鈍感力も必要なスキルなのだと思います。
外資系企業で英語力は実際どの程度必要?
英語を使用しないポジションもある
外資系企業と言われると、社員全員が英語を話すイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
実際は、職種やポジションによってはほぼ英語を使用しないこともあります。
わたしは現在海外の企業によって買収された元日系企業に勤務していますが、日常的に業務で英語を使用する社員はおそらく全体の1割程度です。
外資系企業の日本支社の役割が日本市場における営業活動である場合、取引先は日系企業であることがほとんどです。
また、わたしが過去に在籍した外資系企業では、外国籍の社員がゼロというところもありました。
英語の使用頻度や求められるレベルは企業や職種によってまちまちで、必ずしも英語力が必須というわけではありません。
英語力の重要度はその企業の人員構成、日本支社の裁量など企業ごとに変わってきます。
英語力がなくても問題にならない企業もあれば、英語力がないことが致命的なデメリットとなる企業もあります。
TOEIC等の英語資格は必要なし
「外資系企業ではたらくにはTOEICは何点以上必要ですか?」という質問をよくされます。
わたしは外資系企業4社に勤務し、毎日仕事で英語を使用していますが、TOEICの受験経験はありませんし、採用面接でもスコアを聞かれたこともありません。
英語力が必要な職種の求人票には「Fluency in both oral and written English and Japanese is required.(スピーキング・ライティングの両方において英語・日本語が流ちょうであること)」と記載されることが一般的です。
英語力が求められる職種の採用では、英語面接が実施されます。
面接で業務に必要な英語力がないと判断されれば、TOEICのスコアはまず考慮されません。
英国系の企業や公的機関の募集でIELTSのスコアを求人票に記載している案件は見たことがありますので、もし受験するのであればIELTSの方をおススメします。
しかしながら、即戦力の採用においては、英語資格の取得に時間を割くよりも、自分の業務や実績を英語で論理的に説明できるトレーニングを優先した方が効率的かと思われます。
英語力不足によるデメリット
外資系企業でも英語力を求められないポジションがあることは前述のとおりです。
しかしながら、英語力が不足していることのデメリットは3点あります。
デメリット① 業務マニュアル、社内システムや社内規程は英語
外資系企業の場合、社内で使用されるマニュアル、システム、規程等は海外本社で作成されたものが各国の支社で使用されます。
企業の規模によっては各国の言語に翻訳されるケースもありますが、翻訳の範囲が限られていたり、翻訳版のアップデートが遅れたり、放置されることもあります。
英語でこういった元情報を取得できないと業務を進めるうえで不利になる可能性があります。
デメリット② 昇進の足かせになる
外資系企業での昇進は海外本社との連携や重要なプロジェクト・会議への参加がカギとなります。
英語力がないとこれらの機会を得ることができません。
入社時では求められなくても、その企業でマネージャー以上の役職を目指すのであれば入社後に英語力を向上させる必要があります。
デメリット③ 社内の情報収集をおこなう上でハンデになる
外資系企業で昇進するチャンスを得たり。失職するリスクを回避するには常に海外本社の最新動向を注視する必要があります。
重要な方針や情報は、
海外本社の経営陣→海外本社の役職者→日本支社の役職者→(日本語への翻訳)→日本支社の社員
という順番で降りてきます。
日本支社まで情報が入ってくる前に海外本社の同僚からこの様な情報を入手しておくと早めに立ち回ることができます。
そのためには英語力が必要となります。
外資系企業では読み書きに加えて、スピーキング力を高めておくと、より多くの機会に恵まれます。
忙しいビジネスパーソンにはELSA Speakのようなスキマ時間でどこでもトレーニングできるアプリがおススメです。
外資系企業への転職活動で求められる3つのスキル
①英文レジュメでのアピール力
外資系企業に応募する際に、日本語の職務経歴書を英訳したものを使用される方を結構見かけます。
しかしながら、外資系企業に応募する場合は、英文レジュメのフォーマットで作り直すことをおススメします。
英文レジュメではAction Verbを使用して、ダイナミックに自分の経歴をアピールすることが一般的です。
したがって、完成された英文レジュメと単純に日本語の職務経歴書を英訳したものと比較すると、後者はどうしてもアピール力で見劣りします。
応募する前に転職エージェントやレジュメコーチ等のネイティブスピーカーのチェックを受けた方が良いでしょう。
また、LinkedInで外資系企業に勤務している人のプロフィールをチェックするのもおススメです。
特に自分の業種や職種に近い人のプロフィールでは参考となる表現を見つけることができます。
LinkedInの効果的な利用について学びたいひとにはこちらの書籍をおススメします。[PR]
採用企業側、転職希望者側、両方の活用方法が具体的に解説されているため、利用するうえで大変参考になります。
②面接でのアピール力
外資系企業の採用面接では1対1で行われることが多いので、その分面接中の会話は濃厚になります。
質問自体は、これまでの経歴や志望動機など、日系企業で聞かれるものとそれほど大きくは変わりませんが、回答の仕方にはコツがいります。
GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)企業で採用されているSTAR手法で自分の実績や経験を説明しましょう。
この手法を使えば自分の実績や経験を論理的かつ明確に説明することができます。
STAR面接については、こちらの記事で質問例・回答例も紹介しながら詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
③交渉力
外資系企業では入社前も入社後も自分の報酬の交渉力が求められます。報酬の決定において、日系企業よりもスキルや実績に連動する要素が強いからです。
提示された条件をそのまま受け入れると上司・会社にはその条件で納得して働いていると思われます。
もし提示された条件に対して疑問や提案がある場合は、論理的かつ合理的に交渉する必要があります。
採用プロセスにおいては、転職エージェントを経由して応募していると、転職エージェントと採用側で双方が妥協できるラインを探ってくれます。
外資系企業への応募を検討している方は、転職エージェントの利用をおススメします。
外資系企業で求められるスキル:まとめ
以上、今回の記事では外資系企業で必要なスキルと英語レベルを解説しました。
外資系企業で活躍するために必要なスキルは次の5つです。
- 新しい環境への適応力
- 多様な環境でのコミュニケーション力
- 変化への対応力
- 成果のアピール力
- 鈍感力
また、外資系企業への転職活動では次の3つのスキルが必要です。
- 英文レジュメでのアピール力
- 面接でのアピール力
- 交渉力
外資系企業への転職は、日系企業とは違ったアピール力や交渉力が求められることから、ロバート・ウォルターズ、アージス・ジャパン、エンワールド・ジャパン、ランスタッド等の外資系企業に強い転職エージェントの利用がおススメです。
また、外資系企業で最終面接をパスすると、リファレンスチェックを求められることがあります。
転職を検討する場合にはあらかじめリファレンスチェックに応じてくれる人の人選・依頼も進めておきましょう。
最後まで読んで下さりありがとうございました!