日系企業に勤務しているビジネスパーソンから外資系企業の印象として、よく聞くのが、
社員全員がネイティブスピーカー
海外出張が多い
リストラが多い
などといった内容です。
わたしはこれまで11社経験していますが、そのうち外資系企業は4社経験しています。
外資系企業に初めて転職したのは40代になってからで比較的遅い方でした。
それまでネガティブな先入観をもっていたこともあり、外資系企業への転職に躊躇していたことが理由です。
しかし、実際に外資系企業を4社経験してみて、転職前の先入観や不安が杞憂に終わったことも結構ありました。
今ではもっと早く外資系企業に挑戦すればよかったと後悔しています。
そこでこの記事では、これまでの私の経験から、外資系企業への転職でよくある5つの誤解について解説します。
外資系企業への先入観から外資系企業への転職に躊躇しているひとにとって、実体験に基づく有益な内容になっていますのでぜひ最後までお付き合いください!
外資系企業:3つのタイプ
誤解① 高い英語力が必要
誤解② 業務で英語を使用できる
誤解③ 海外出張・海外赴任の機会が多い
誤解④ 白黒はっきりさせるコミュニケーション
誤解⑤ 雑談・プライベートの話はしない
外資系企業のリストラと成果主義について
各企業のカルチャーの把握が重要
それでは、外資系企業への転職でよくある5つの誤解について解説していきます!
外資系企業:3つのタイプ
それでは、まずは日本にある外資系企業の3つのタイプについて説明します。
この3つのタイプの特徴を知ることで、外資系企業のカルチャーをより理解できるようになります。
- 海外企業100%出資の子会社
- 海外企業と日系企業の合弁会社
- 海外企業が買収した元日系企業
①海外企業100%出資の子会社
外資系企業と聞いてイメージする文化に一番近いタイプでしょう。Google、Apple、Facebook、Amazon、Netflixなどが例として挙げられます。
経営陣が海外本社から派遣されていることも多く、海外本社の文化や方針が色濃く反映されているタイプになります。
社内の会議や資料も英語が基本というところも多いので、役職・職種によっては高い英語力が求められることもあります。
②海外企業と日系企業の合弁会社
外資系企業と日系企業のハイブリット型のタイプになります。
どちらの文化・方針が反映されているかは親会社の出資比率によりますが、一般的には日系企業の文化・方針が踏襲される傾向があります。
外資系企業がマイナー出資の合弁会社の場合、在籍していても感覚としてはほぼ日系企業と変わらないと感じるケースもあるでしょう。
③海外企業が買収した元日系企業
既存の日系企業を海外企業が買収するタイプです。最近では、某大手百貨店がアメリカの投資会社に買収されたニュースがありました。
買収されてどの程度の時間が経過しているかにもよりますが、日系企業の文化から海外本社の文化へ移行中の段階にあるタイプです。
場合によっては、将来的に経営合理化のために組織改編や人員の調整が行われる可能性もあります。
外資系企業の特徴については以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
誤解① 高い英語力が必要
それでは外資系企業の誤解を具体的に説明していきます。まずは英語力に関する誤解です。
結論から言いますと、高い英語力が求められるのは、「役職・職種」によります。
すべての役職・職種で高い英語力が求められる訳ではありません。
私は外資100%のグローバル・エンタメ企業で勤務した経験がありますが、日本支社の社員のうち英語を日常的に使用しているのはおよそ全社員の2割くらいだったこともあります。
つまり、8割程度の社員はほとんど業務で英語を使用することはなかったことになります。
ただし、上位管理職となると、海外本社とのコミュニケーションや会議も増えてきます。
その場合、ある程度の英語力がないとその勤務先においてはハンデになるおそれもあるでしょう。
誤解② 業務で英語を使用できる
誤解①と同様にこちらも「役職・職種」によります。
外資系企業の日本支社の役割は、基本的に日本市場での事業を担当することです。
従って、取引先は原則日本企業であり、顧客層は日本在住のユーザーとなります。
この場合、外部とのコミュニケーションは基本日本語であり、海外本社へのレポートの際に英語を使用することになります。
もし、自分の上司と日本語でやりとりする場合は、レポートも日本語で行うことになり、英語を使用する機会は限定的になるでしょう。
誤解③ 海外出張・海外赴任の機会が多い
海外出張・海外赴任の機会については、企業の規模や職種によります。
外資系企業の日本支社の存在意義が日本の事業である以上、日系企業の海外事業部門の方が海外出張・海外赴任の機会は多いでしょう。
外資系企業の海外出張の機会となると、海外本社や日本を統括している海外支社での研修や社内イベント・業界見本市が主なものとなります。
この様な研修・イベントに参加できるのも、特定の職種や普段から海外本社と連携する担当者・マネジメント層に限られることが一般的です。
従って、海外を飛び回ったり、海外拠点に駐在することがキャリアの目的である場合は、日系企業の海外事業部門のポジションを狙う方がこれらの機会が多いと考えられます。
誤解④ 白黒はっきりさせるコミュニケーション
私が日系企業に勤務してた時は、外資系企業に対して、「常にYes・Noをはっきりさせるコミュニケーションを取る文化」と思っていました。
その後、実際に外資系企業に入社してみて、その様な直接的な発言をほぼ耳にしないことに驚きました。
日系企業では、上司から部下に対して、「これやっといて」と仕事を振りますが、外資系企業では「これをやってみたい?」と言われることが多いです。
外資系の管理職の人材はコーチングのトレーニングを受けている人も多く、一方的な命令・指示というよりかは、部下の能動的な行動を引き出すコミュニケーションが特徴的です。
また、会議の時には他の社員の提案に同意・否定する場合もかなり婉曲的な表現を使います。
良く言えば、相手への気遣い・配慮であり、悪く言えば、自分の発言の責任を回避するためです。
特に上位の職位の会議になればなるほどその傾向は強まります。
場合によっては、日系企業以上にその場の空気を読む力が求められるのです。
英語が得意でない場合はボキャブラリーの問題もあり、自分の発言が直接的な表現になりがちで、聞き手に違和感を与える可能性があります。
そのため、会議でのネイティブ・スピーカーの発言を注意深く聞いて、彼らの婉曲的な表現と会議での立ち回りを早めに習得することをお勧めします。
誤解⑤ 雑談・プライベートの話はしない
外資系企業の社員は勤務中に業務・事業に関するもの以外の話をしないと思われる方もいるかもしれません。
確かにそういう社員もいますが、実際は会議前後やちょっとした休憩時間に結構雑談しているところを目にします。
週末のアクティビティや最近買ったもの・食べたものなど、相手のプライバシーにあまり踏み込まない程度の絶妙な距離感の会話を展開します。
多くの場合、こういった会話の中身に深い意味はなく、仕事上の潤滑油としてのツールとして行われています。
また、外資系企業は多様な人材が在籍していますので、自分のことを知ってもらうため・相手にポジティブな印象を与えるために雑談を有効活用しているのです。
そのため、もし外資系企業に入社したら、初めて話す人に対しては自分自身を知ってもらうための小ネタ(宗教・政治的思想等のセンシティブな話題は避けた方が無難です)を用意しておくと良いでしょう。
いっぽう、聞き手になる場合も油断してはいけません。
「あなたの話を興味深く聞いてますよ」という姿勢を崩さず、良い聞き手になることが重要です。
外資系企業のリストラと成果主義について
「外資系企業はリストラが多い」、「外資系企業は成果主義」と考えている人も多いでしょう。
リストラと成果主義については、概ねご想像の通りかと思います。
それぞれ簡単に説明します。
外資系企業のリストラについて
リストラについては、外資系企業であっても、日本で設立されている法人であれば日本の法令が適用されます。
外資系企業であっても違法な解雇は認められません。
にもかかわらず、外資系企業の社員は日系企業よりも退職するケースが目立つ印象です。
理由のひとつは、外資系企業ではジョブ型採用が基本だからです。
そのため、自分のジョブ(担当職務)がなくなった場合、自分のスキル・成果がその職務に見合ったものでない場合には労働契約の合意解除を求められるのです。
外資系企業の解雇事情については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
外資系企業の成果主義について
成果主義については、外資系企業と日系企業の間に評価制度における人事部門の関与が大きく違うことが挙げられます。
日系企業では、各部門から吸い上げられた全社員の評価を人事部門が、全体最適の観点で各社員の評価を振り分ける傾向があります。
いっぽう、外資系企業では、評価対象の社員の上司に評価の権限が与えられていることが一般的です。
年度の最初に上司と合意した目標に対してどれだけ達成できたかを期末の評価面談でプレゼンし、それに対するフィードバックをもらうことになります。
上司が評価の権限を持っているがゆえに、成果と報酬の関連度が高くなります。
そのため、自分の成果と上司に対するプレゼン力が待遇や昇進に大きく影響します。
各企業のカルチャーの把握が重要
私はこれまで外資系企業4社に在籍しました。
日系企業との違いという大きな点では外資系企業同士で似た要素はあるものの、やはり企業によってそれぞれのカルチャーは異なります。
また、外資系企業と言っても、アメリカが本社の企業とヨーロッパやアジアが本社の企業では、それぞれのカルチャーはやはり異なります。
私が在籍した外資系企業では、外国籍の社員が一人もいない企業もありましたし、社員の過半数が外国籍の社員だったこともありました。
前者の企業であれば、日系企業から転職してきた人材であっても、後者の企業よりも入社時の違和感は少ないでしょう。
いっぽう、バリバリ外資系のカルチャーを求める人にとっては物足りないと感じられるかもしれません。
カルチャーの許容度・マッチ度は人によって異なります。
外資系企業に入社を決める前にはぜひその企業の独特のカルチャーを把握してください。
外資系企業は自社のカルチャーを応募者に開示することに協力的であることが一般的です。
そのため、必要に応じて近い職種や役職の社員とのカジュアル面談を設定してもらうのも有効でしょう。
外資系企業の誤解:まとめ
以上、この記事では、外資系企業に関するよくある5つの誤解について解説しました。
- 高い英語力が必要
- 業務で英語を使用できる
- 海外出張・海外赴任の機会が多い
- 白黒はっきりさせるコミュニケーション
- 雑談・プライベートの話はしない
大きな括りとして、日系企業との違いは確かにあるものの、実際に転職先として外資系企業を検討する場合は個々の企業のカルチャーを見定めることが重要です。
企業のカルチャーをチェックするために、転職エージェントの活用、採用企業とのカジュアル面談、口コミサイト等を活用しましょう。
外資系企業には日系企業とは違ったデメリットがある一方、メリットもあります。
外資系企業のタイプによっては、日系企業からの転職であってもそれ程ハードルが高くない場合もあります。
キャリアアップのためにも一度外資系企業を検討されてみてはいかがでしょうか?
この記事が少しでも参考になれば幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました!